この前の記事、
で、アマゾンから電子書籍を出版したときのことを書きました。
原稿をテキストファイル形式にして、「でんでんコンバーター」を使ってepub形式に変換して、とけっこう大変でした。
アマゾンのKDPの説明を見ると、Wordファイルも受け付けてくれるようです。なんだ、Wordファイルを使えば簡単だったのか、と思ったので試してみました。
オンデマンド出版したときのWordファイルを修正
いらないものを削除
まず、オンデマンド出版したとき(ここ)のWordファイルをいろいろと修正して、すっきりさせておきます。
- 「扉」の前のページ(書名が書かれているところ)を削除
- 「目次」を削除
- 「改行」による無駄な空間を削除
- 「セクション区切り」などを削除し、必要なところは「改ページ」にする
- 「ヘッダー」を削除
- 「奇数ページ」と「偶数ページ」の区別をやめる
1番:オンデマンド出版のときは、余裕を持たせるために書名だけが書かれているページを第1ページとしていました。電子書籍では余計な空間はいらいらするだけです。削除します。
2番:目次は後で自動作成しますので、バッサリ削除。
4番:オンデマンド本ではセクションごとのページ番号だの柱だのに凝っていたのですが、電子書籍では不要です。ページを改めるところだけ「改ページ」を挿入しましょう。
5番:ヘッダーもフッターも電子書籍では不要。ヘッダーをダブルクリックして、
6番:これもオンデマンド本の場合は苦労して分け、結果に満足していたのですが、電子書籍には不要。
目次を自動作成
目次を作成しておく必要があるようなので、目次を作成しました。
目次を挿入する場所にカーソルを置きます。僕は「扉ページ」「まえがき」の後にしました。
をクリックします。
「ページ番号を表示する」のチェックをはずします。
「アウトラインレベル」を「2」にします。これで、「見出し1」と「見出し2」が目次項目になります。
OKを押すと、ちゃんと目次が自動生成されています。すごいですね。
「目次」の後には「改ページ」を入れておきます。
Wordファイルを直接Kindle Previewerに読み込ませる
前回使ったアマゾンのプレビューソフト、Kindle Previewer 3(Ver. 3.39.1)を起動します。
そこに、Wordファイルをドラッグアンドドロップしてやります。時間はかかりますが、しばらくすると表示されます。
これで確認してもいいのですが、ちょっと見にくいですね。もし、Kindle for PCがインストールされていればそれで見ることができますので、いったん、
で、mobiファイルとして保存します。
保存ダイアログが開いたら、「ファイルの種類」で「本(.mobi) - 古いKindle端末にサイドロードします(*.mobi)」を選びます。「サイドロード」って何のことかよくわかりませんが、無視、無視。
Kindle for PCでmobiファイルを開いてみる
ダウンロードされたmobiファイルを右クリックして、
を選んでやります。
Kindleではタイトルが「Unknown」となっていますが、とりあえず読むことができます。
結果
悲惨です。
Kindle Previewer 3で見るとそれほどでもなかったのですが、実際のKindleで見てみるとひどい状態です。
よいところ
悪いところのほうをまず書きたいのですが、とりあえず、参考までによいところも見てみましょう。
- 画像がちゃんときれいに挿入されている
- 表が使える
- 脚注がすべてきちんと変換されている
- 注釈は末尾にまとめられる
1番:これは便利です。とても便利です。Wordにはりつけた状態のまま表示されます。いちいち別ファイルで管理する必要がありません。
2番:これもとても便利です。表の枠線を表示しない設定にしたのですが、そのままでした。枠線を消して文章を整形できます。
3番:脚注が36個もあったのですが、すべてきちんと処理されていました。あっという間に変換されるのはすばらしいです。注番号もすっきりしています。
ただし、この注釈は全体が電子書籍の末尾に来ます。著者紹介や著作権表示の後に来るのでカッコ悪いです。アメリカの本では、著者紹介やコピーライトを初めの方に書くからでしょうね。
悪いところ
次に悪いところ。
Kindle Previewerで見たときは大丈夫だったのですが、Kindleで見るとこんな状態です。
何なんでしょう! 漢字以外がすべて太字になっているではありませんか。しかも、漢字も日本語というよりも中国語の漢字みたいです! これはとても使えません。
もとのWordファイルが「見だし」にMSゴシックを使っているからかなどと思い、「見出し1」と「見出し2」をMS明朝にしてみましたが、同じ結果になりました。
日本語に比べると、ドイツ語の方はふつうにきれいです。
一方、フランス語の場合は、
となっています。Théâtre, Décor, Déconvenueが変です。特殊文字の前後に半角スペースがはいってしまってます。
ドイツ語も日本語の文章の中に入り込むと、同じようになるようです。
どういうわけか、イアリックのSchönbergの<ö>の方は大丈夫なのに、Münchenの<ü>の前後に空白があります。
ルビを見てみましょう。これには唖然とします。
なんだかもやもやしていますね。「蒙気(もうき)」と「薫香(くんこう)」です。なんとこれは画像なのです。ルビを画像として処理しているのです。何という発想! 逆に驚いたりして。これなら「蒙気(もうき)」とカッコ書きしておく方がよほどいいですよね。詩の雰囲気がだいなしです。
同じように、テキストボックスに入れた文章も画像化されます。
結論
とても使えません。やはりアメリカのソフトなのです。日本語のことなんてあまり考えてくれていません。
これをそのまま出版すると非難ごうごうでしょう。
Wordファイルを直接電子書籍にするべきではない、というのが結論です。