イラストを描く人のために、sRGBカバー率100%のノートパソコンを探した話

2020/08/08

パソコン

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知人のノートパソコンが壊れたので、新しいのを買うことになり、そのお手伝いをしました。最終的に買う機種が決まるまでの経緯を書きます。

色域

知人は、趣味でイラストや漫画を描いています。使うソフトは、AdobeのIllustratorやPhotoshopではなく、CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)とのこと。

とにかく、色域の広い機種がいいと言います。AdobeRGBとか、sRGBとか、難しい言葉を口にします。

家電店でノートパソコンをいろいろ見てきたようですが、色が青っぽくてどれも気に入らなかったようです。そして調べるうち、画面の色のためにはAdobeRGBやsRGBが重要だと知ったとのことでした。

僕が調べてみてざっと理解したところでは、AdobeRGBが関わるのはきれいに印刷する場合です。結局、高級カメラ、高級モニタ、高級ソフト、高級プリンタがそろってないとあまり意味がないようです。知人が使っているのは通常の家庭用の複合機です。写真を印刷することもありません。Web上でちゃんと表示されればいいのです。そういう場合は、sRGBの方を気にすればいいようです。

それでsRGBが100%のものを探すことにしました。

sRGBカバー率とsRGB比

sRGBでも、sRGBカバー率とsRGB比というのがありました。これも、重視すればいいのはsRGBカバー率のほうだということがわかりました。

仕様

ターゲットは次のようになりました。
  • ノートブック
  • CPU:i7で、できれば最新のもの
  • GPU:GTX1650以上(少しゲームもしたいから)
  • メモリ:16GB
  • SSD:512GB~1TB
  • 液晶:15.6インチ、非光沢
  • sRGBカバー率100%
  • 15万円程度

sRGBカバー率を確かめるために、the比較を利用しました。
いやあ、すごいサイトです。右上の検索ボックスに機種を入れれば、いろいろな情報が得られます。

マウスコンピューター

最初に見たのは、マウスコンピューター。広い色域のノートパソコンを販売しているという印象があったからです。

15.6インチには、クリエイター向けと銘打った「DAIV 5N」がありましたが、なんと税抜きで18万近くもします。しかも、sRGBカバー率は95.8%で、100%ではありません。すぐにあきらめました。知人は、昔は15万くらいの機種もあったのに、と悔しがっていました。

ドスパラ

次に、ドスパラで探しました。知人がこれまで使っていたのはドスパラのノートで、8年ほど前に15万弱で買ったものです。ゲーム用なのでさくさく動き、また色域もすごく広かったと言います。8年間使って、一度だけアダプターが壊れましたが、本体はまったく故障知らず。知人はとてもいい印象を持っていました。

ここにも「クリエイターパソコン」というカテゴリーはありましたが、残念ながら、タワー型とタブレットしかありませんでした。

「ゲーミングノート」を探してみると、

  • GALLERIA GCR1660TGF-QC、14万5000円台(税抜き)

がありましたが、the比較によると、sRGBカバー率は94.6%。

  • GALLERIA GR2060RGF-T、13万円ほど(税抜き)

もあり、これについては、「the比較」になかったので、ドスパラに直接sRGB比を訪ねてみました。が、「液晶の仕様については、非公開とさせていただいております」とのこと。まあ、14万5000円台のものよりよいはずはないだろうと思い、ドスパラはあきらめることにしました。やはり、どすぱらはゲームに重点が置かれているのでしょう。

デル

次に検討したのは、デルの

  •  Inspiron 15 7000

です。僕には、デルは事務用パソコンというイメージがあったのですが、sRGBカバー率100%をうたっているようなのです。

  • CPU: Core i7-10750H
  • GPU: GeForce GTX 1650Ti
  • メモリ:16GB
  • ストレージ:1TB SSD
  • 重さ:1.75kg

GPUはGTX 1650Tiだし、ストレージは1TBもあるし、それに軽い! しかも、割引で13万6000円ほどで買えるようなのです。
僕ならすぐこれに決定です。

しかし、「the比較」の計測では、sRGBカバー率は96.9%。知人はこれが若干気になるようでした。イラストをやる人はどこまでも色域にこだわるようです。ストレージが1TBもあるのに!

レノボ

結局、決めたのは、これ。

  • レノボ Legion 550Pi

  • CPU:Core i7-10750H
  • GPU:GTX 1650
  • メモリ:16GB
  • ストレージ:512GB SSD
  • 液晶サイズ 15.6型 FHD
  • 液晶種類 IPS 非光沢 144Hz
  • 質量 約2.3kg

なんと税込みで12万円弱でした。
詳しくは、the比較をご覧ください。

知人は、ゲームをそれほどがんがんするわけでもないので、GPUはこの程度でもいいとのことでした。とにかく、色域なのです。

注文しようと思ってよく見ると、「最短6 週間以上で出荷」とあるではないですか。目を疑いました。他のパソコンが数日、長くて2週間ほどで届くのに、6週間も? 

間違いではないか、用心して長く見積もっているのではないか、と思って直接問い合わせてみました。が、やはり「6週間以上」とのこと。信じられない! 今どきこんな商売やっていけるのか!

これじゃあ、少しくらい色域が劣ってもデルのほうがいいんじゃないの、と思ったのですが、知人によれば、6週間以上、かかっても色域なのです。

ギガバイト

まあ、しかたがないか、僕が買うわけでもないし、と思いながら、また探していると、ギガバイトとかいうところの、


というのが見つかりました。

ちょっと高いのですが(税込みで14万ちょっと)、メーカーのページを見ると「NTSC色域72%の色再現性」をうたっています。NTSC72%というのは、sRGB100%に相当するようです。価格コムのレビューアーの一人も「sRGB100%相当」と書いています。グラフィックボードも、GTX 1660 Tiです。

しかも、アマゾンで買えるではないですか。わずか3日ほどで届くようです。

勧めてみましたが、メーカー名に聞き覚えがなかったのでアフターサービスに不安があったのか、sRGBカバー率が100%かどうかが明確でないところが心配だったのか、やはりレノボでいいということでした。何より安いですしね。でも、僕ならこれにしたかなって思いました。

まとめ

ということで、知人のノートは、

  • レノボ Legion 550Pi

に決定しました。

それもしても、絵を描く人の色域に対するこだわりはすごいですねえ。

僕もちょっとだけですが色域にも詳しくなりました。今まで気にしたこともなかったんですけどね。

いろいろ探していて思ったのは、もっと各メーカーはクリエイター向けのノートパソコンをラインナップしてもいいのではないかということです。ゲーマー向けのものはたくさんありますが、絵を描く人用のものはまだあまり出ていません。「クリエイター用」というのは狙い目だと思います。

ただ、クリエーターといっても、プロやプロに近い人はどうせデスクトップしか買わないでしょう。それ以外の趣味で絵を描いたりする人たちは、パソコンを置く場所もないのでノートパソコンを求めています。彼らのために10万円台前半のノートを出せば売れるのではないでしょうか。そう、Adobeのソフトに手を出せないでいる人たち、CLIP STUDIO PAINTでイラストや漫画を描いている人たち用のものです。

そして、そういう人たちは、sRGBカバー率を知りたがっています。これもぜひ公開してほしいものです。

ところで、今回調べてみて、デルのノートに好印象をもちました。次はデルで買おうっと。

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