結果は惨憺たる有様でした。
いろいろ調べてみると、Romancerというのがあることを知りました。
これを使うと、Wordファイルの原稿を、出版に適したepubファイルへと変換してくれるようです。しかも、ルビがきちんと表示されるとか。さっそく試してみました。
手順はこんなふうになります。
- Word原稿をRamancerでepubファイルに変換する
- epubファイルをKindle Previewer 3で開き、すぐに「ファイル > エクスポート」でmobiファイルに変換する
- mobiファイルを右クリックして、「プログラムから開く > Kindle」とする
これでパソコン版のKindeで、電子書籍として表示されます。
なんかすさまじく面倒そうですが、慣れればそうでもありません。
結果
ドイツ語の引用符
最初に変換しようとしたときに、エラーがでました。
ドイツ語の引用符の最初の「„」(うまく表示できません)がエラーになりました。
そこでWordの原稿の方を「" "」を使って、
"Pierrot lunaire"
と修正しました。これでうまくいきました。
「でんでんコンバーター」の方は大丈夫だったのに、と思ってそちらを確認したら、
となっていて、今度は後ろの「“」(うまく表示できません)の前に不可解な半角スペースが入っていました。まったく気づいていませんでした。
ドイツ語の引用符は使わないほうが無難なようです。
画像
問題なく表示されています。
目次
Wordで作成したものがそのまま機能します。
見出し
見出し2のフォントが次のように表示されます。
Wordでは、ドイツ語の方はArial、日本語の方はMSゴシックだったところです。
なんだか、ドイツ語がぱっとしません。等幅フォントになっているようです。
「でんでんコンバーター」でepubに変換したのを見てみると、
となっています。フォントのことはよくわかりませんが、こちらの方が断然カッコイイですね。
気になるので、Word原稿の「見出し2」をMSゴシックから「MS明朝」「Century」(両方ともBold)にしてもう一度Romancerにかけ直してみました。
ドイツ語のほうはどういうわけか「u」だけ白抜きになっています。日本語の方は、ゴシックではなくBoldなので色が薄くなっています。
まあ、Word原稿の設定は、Romancer推奨のとおりにして、あまりいじらないほうがいいようです。
注
注はすごいです。脚注がすべてきれいに変換されています。
注番号は、ちょっと特殊な形で、「でんでんコンバーター」のと比べると長すぎるような気がします。
注釈のほうはこうなっています。注釈の位置は「でんでんコンバーター」のときと同じく、「改ページ」の直前にそれぞれの注がきます。
書籍の末尾に注釈がまとめて表示される形だと、あとがきや奥付の後に注釈が来ることになり、カッコ悪いのでこの方がいいと思います。
ふりがな
ふりがなはきちんときれいに振られています。うれしいですね。
フランス語やドイツ語
フランス語やドイツ語表記にも問題ありません。
表
残念なのは、表です。
Wordで表形式にして整形し、枠線を「枠なし」にしていたのですが、表示されてしまいました。おそらく普通に表を使う場合はこの方が便利なのでしょうが、表を文章の整形に使おうとする人にとっては困ったことです。でもこういう仕様なのでしょうがないかな。
まとめ
全体として見れば、非常に好印象です。
何より簡単で、Word原稿があっという間に電子書籍用のepubファイルに変換されます。しかも、Wordファイルを直接Kindle Previewerにかけるのと違って、とてもきれいです。
Kindleで見て不満なところがあれば、もとのWordファイルを書き直し、何度もepubにしてみて、確認することもできます。すごいです。これを知っていたら、最初から使っていたかもしれません。
特に論集のように脚注の多いものは絶対にこれを使うべきです。大幅に労力が軽減されます。
ただ、今回は表形式を多用し、それで文章を整形したので、「でんでんコンバーター」と比べてちょっと不満が残りました。「でんでんコンバーター」の場合はマークダウンがめんどうではあるのですが、
と、きれいに整形されます。
Romancerの場合は表形式にすると、
と、枠線が表示されてしまいます。
半角スペースで整えようとしても、半角スペースは無視されるので、
と、フランス語と日本語がくっついてしまいます。まあ、これでもいいやと割り切ればいいのですけどね。
全角スペースは無視されないので、それで整えようともしてみました。しかし、
と、きれいにそろいません。以下のように、もっとふぞろいになるところも出てきます。
これではとても使う気がしません。
そこで、フランス語と日本語の間に全角スペースを2つ入れてみました。
まあ、このへんで妥協すべきでしょうか。
結論として言えるのは、枠線のない表がたくさん使われている場合は、別の方法を考えるべきだということです。表が一部だけなら、無理して整形する必要はないかもしれません。読者にちょっと我慢してもらうことにしましょう。
表がなく、しかも論集のように注が多いものは絶対にRomancerを使うべきです。
小説や実用的文章の場合も、「Word > Romancer」でやれば、あっという間に電子書籍ができるでしょう。
う~む、すごい!